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更年期情報

一般社団法人 日本サプリメント学会設立後の2年間を振り返って
― 現状と今後の課題 ―

日本サプリメント学会 理事長
小山 嵩夫

はじめに

2010年10月10日に一般社団法人として日本サプリメント学会が発足した。その準備期間を入れると2年余りが経過しており、その間に感じたことを述べてみたい。
サプリメントは学会または行政機関から正式に定義づけされてはおらず“健康によい食品”位で受け取られているため関係する人達、関心を示す人達は多いが、余りにも定義が漠然としているためその人達の学会への関心、関係度は希薄といえる。言い換えるとまとまりが悪く組織化が難しい。  学会発足までについては以前報告した1)ので今回は学会発足後を中心に述べる。

1. 設立にあたって感じたこと

 サプリメント学会を理解してもらうために医療関係者を中心に多くの人達に会う機会があったが、驚くほど関心が低く、その知識もほとんどないことに気づかされた。職業柄、医師と会うことが多かったが薬と同様に考えている人達も多く、また現在の医療保険制度の枠外であるため、関心は一般的に低い。健康増進へのサプリメントの重要性を説明したが、健康増進自体が医療保険制度の枠外であるため、関心がないのは制度上の問題もその要因であることを感じた。
 現在わが国でサプリメントに最も関心を持っている集団はどこかと考えると、特にないことも気づかされた。サプリメントは健康と関係するので医療関係者かというとそうでもなく、監督官庁は消費者庁であり、医師、薬剤師、看護師、栄養士などの医療スタッフは医療保険制度の枠内にしっかりと組込まれており、仕事も忙しく、サプリメントにまでエネルギーを割く余裕はないのが現状といえる。
 わが国の現行の制度では誰でもサプリメントを作り、国の指定の機関で内容の確認を得た後は販売することが可能である。そのために必要な期間はせいぜい数ヵ月程度であり、非常に多くの人達がいろいろな分野からサプリメントの製造、販売に参入してきている。多くの業者は得意な分野のサプリメント中心に販売していることが多く、数種類から10種類位のことも多い。この様な事情もあり業者数は健康保険に採用されている薬剤を中心に販売している製薬メーカーとは比べものにならない位多く、行政機関も全体像を正確には把握していないと思われる。この様な事情もあり、サプリメント取扱い業者はいわゆる医療関係者とは全く関係ない人達が多いと考えられる。日本医師会、東京都医師会などはここ数年来サプリメント飲用に対して警告的なキャンペーンを繰り広げているが、背景にはこの様な事情も原因の1つと思われる。
 サプリメントは健康維持、増進を目的として飲用されているが、その効果効能については法律上述べることができず、このこともサプリメントの飲用に関して混乱を招いている原因の1つである。この点に関してはメーカーに資料を請求してもデータはもらえないことが多く、またもらえたとしても自分達に都合のよいもののみであることも多い。国も法律を改正して2015年よりはある程度の効果効能を表示する方向にするとのことであるが、サプリメントの信頼性の向上には役立つと考えられる。
 わが国では個人使用であればほとんどのサプリメントを簡単な手続きで輸入することができ、その結果成分がはっきりしないサプリメントが国内で使用されることになり、しばしば問題を起こしている。国内産であれば成分は同定されているが、個人輸入の場合はこの成分同定も不明になってしまうため改善点は多い。

2. 活動の方向性

 広い意味での医療には病気の治療と健康増進、病気の予防があり両者とも非常に重要である。しかしわが国では99%以上の医療施設が治療中心の健康保険制度のもとに運営されており、その活動のほとんどは病気の発見と治療に投入されており、医療関係者の教育も病気の治療にほとんどが割かれている。健康増進も疾患の治療と同じ位医学的には大切であることを国民に啓発し、わが国のヘルスケアシステムの根本的な改革を促してくことは大きな課題である。
 更年期を迎えた女性は90歳代前半まで生きることが予測されており、その活動性、QOLを維持するためには従来の様に病気の治療のみでは限界があり、早くから健康増進(例:筋肉量や肺活量の維持など)にも配慮してくことはこれからの高齢社会には必須といえる。
 現在サプリメント関係に従事している人達は特定の職域の人達ではなく、あらゆる領域の人達が参加している。例えば販売している場所としては薬局薬店をはじめ診療所、健康施設、化粧品店、スーパー、訪問、通信販売などあらゆる場所で行なわれている。販売者に特定の資格は必要でないことも特定の集団に偏らない理由の1つであろう。この様な人達を学会として組織化することは非常に困難である。またサプリメントに関係している仕事をしているだけの理由でサプリメントに関する本や情報発信をしている人達も多く、医学教育を受けた経験からみると不適切な記述もしばしばみられる。正しい情報を国民に伝える努力は学会としても使命といえよう。
 ひとまずは学会活動に関心のある人達や、医療関係者、研究者、サプリメントアドバイザーの資格を持っている人達などを中心に小規模で組織化してくことも1つの考え方である。
 医学教育に関しては病人を救うことは重要であるがそれのみではこれからの少子高齢社会を乗り切ることは難しいことを理解してもらい、健康管理にもそのエネルギーを注ぐことを理解してもらうことが大切である。老人が増加し、それを支える若い世代が減少していく時代では治療手段のほとんどない難病や、治療の見込みのほとんどない領域に生命は尊い、すべての人に最高の医療を受ける資格がある、万が一を信じ最後まで希望を捨ててはいけないなどの理由で大金を投入する余裕は社会にはなく、むしろ効率のよい(逆に医療の売上げは減少するが)予防医学、健康管理に力を入れていくことは自然の流れともいえる。医療現場での責任者である医師はこの辺りの判断ができる材料は持っているわけであり、責任は重い。

3. おわりに

 日本サプリメント学会を設立して、学会に賛同するとのことで非常に多くの関係者に会ったが全体像を把握している人は少なく、大局的な視点からわが国のサプリメントの今後を語れる人はまだ多くはない感じを受けた。多くの場合はその人の現在のビジネスとサプリメント学会を結び付けることにより、彼らの事業に何かプラスになることはと、考えているケースが多かったと思う。
 医師は医療保険の枠内でする仕事が多く、時間的な余裕もなく、日本医師会のサプリメントに対する姿勢もあり、どちらかといえば非好意的な人達が多い感じを受けた。既に述べた様に業者は医療関係者でない人の方が多い感じを受けたが、健康を扱うからには医学的知識の背景がある程度あった方がよいと思われた。行政は食品として消費者庁が扱っているわけであるが、本格的に取り組んで、責任があり、かつ的確な対応のできる政府部門はまだわが国にはない感じを受けた。
 2年余り日本サプリメント学会の代表者として多くの人達と接触をもち、その感想を述べた。サプリメントはわが国でも普及は広がりつつあるが、基本的な部分に関してはこれからであり、行政、学会、医療関係、業界などの関係者がこれから協力して信頼のおけるサプリメントの活躍の場を作っていくことが必須であり、期待されている。

【文献】

1) 小山嵩夫:日本サプリメント学会発足について.更年期と加齢のヘルスケア11:241-244,2013

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