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更年期情報

メノポーズカウンセラーと更年期からのヘルスケア

■ はじめに

 当NPO法人の主な活動の1つであるメノポーズカウンセラー認定事業も少しずつ軌道に乗ってきている。更年期を迎える人達に更年期にについて正確な知識を持ってもらうと同時に、更年期女性の訴えに十分に耳をかたむけ、検査結果などについて十分に解説を行う、予防医学的な活動を柱として、更年期から生涯にかけての活動性、健康を保つことを最終的な目標として活動している。
 これらの活動は本来は医療関係者、特に医師がすべきことが多いわけであるが、わが国ではこれらの面が非常に貧弱であることはよく知られている。理由としては医学教育、医療制度、医療経済などが関係しており、考え方を変えればすぐ改善されるわけではない。
 更年期からのヘルスケアは予防医学的内容が多く、十分に話を聞く余裕がない、処置・手術などのイベント的なことが少ない、など現在の医療保険制度では経営的に成り立ちづらく、多くの医師の関心のない領域になってしまっている。
 医療経営的に魅力がないからといって、やらなくてもよい領域ではなく、いつまでも不十分なままで放置されている現状はやはり異常といえる。本来は医師を中心とした医療関係者で本格的に取り組んでもらうことを期待しているが、我々が現在取り組んでいるメノポーズカウンセラーもこの領域で十分に貢献できていると考えている。本文ではこれらの点についても解説しながら今後の方向性について述べる。

1.検査結果の適切な解説と十分に話を聞くことの重要性

 ここにあげていることは診療の現場では実施がかなり困難で、非常に不十分なままで来ているため、わが国の更年期からのヘルスケア、更年期医療の質をかなり下げているといえる。検診も結果が単に正常か異常かを伝えていることが多い。例えば50歳女性の腰椎骨密度が最大骨密度より28%減少していた場合、どの様なことに注意し、10年後20年後に起きるであろう様々な症状を含めて説明することが必要である。2~3回測定した血圧が152/90、148/88などの場合、総コレステロール270、LDLコレステロール152などの場合も同様といえる。わが国の場合、背景説明などはほとんどなく、単に高いか低いかですぐ投薬するのが一般的である。更年期女性は性差の視点からも一般男性とは大きく異なっており、特に加齢が関係した生活習慣病的な領域においては、すぐ投薬を行い見せかけの検査値を良くして安心するのではなく、まず十分に病態を理解し、運動、食事、日頃の生活のリズム、ストレス管理などの面から改善をはかることが、例え面倒であっても基本である。
 トレーニングを積んだメノポーズカウンセラーはこの様な方面でも十分に活躍するであろう。医師は、日常生活の管理は医療行為だから自分達の領域だと言わずに、生活指導、カウンセリングなど時間的にも医師にとって実行が難しい分野では、コメディカルの人達と協力して良い医療をめざしてもらいたいものである。

2.相談業務の経済的な裏づけの有無について

 更年期からヘルスケアがなかなか医療現場で実施されない大きな理由は、医療保険または公費負担などによる費用の補助がほとんどないことである。では患者が自費で負担するかという問題になると自費負担の習慣のほとんどないわが国の医療現場では徴収しづらい、結局現行のように費用もかけず、徴収もしない、即ち何もしないという状況が続いている。
 例えば、患者からの話を聞き、整理し、方向性を示した場合、医療経済的にはカウンセラーが担当して50分1万円位が妥当であろう。しかし、患者側は高いと思うし、医療側は保険が採用されない限りはとても無理だと思っている。保険者側は医療財政が苦しい折、とても無理だと考えている。カウンセリングにより的確な方向性が示され、無駄な通院、検査、投薬が減り、相談者のQOLが向上すれば、カウンセリングの費用はわずかともいえよう。また医療の現場で無駄な検査、投薬を少し減らすだけでカウンセリングの費用分を浮かすことは非常に簡単であり、関係者、当事者の理解と協力が期待されている。
 現行の医療保険制度が運用され始めてから50年近く経過している。国民全体の医療レベルの向上には多大な貢献をしているが、多くの問題点も存在している。医療関係者(特に臨床医)は新しい医学的手段、概念が登場してきても、まずそれが保険に採用されるかどうか、どのようにすれば適応が得られ査定されずに済むかに関心が集中し、それ以外のことにほとんど関心を示さない人達も多い。これは医療の社会統制・画一化を招き、医療の進歩を遅らせる。即ち医師の裁量権を奪い、自由な医療を大きく損なっているといえる。そういうことは考えずに、制度がそうなっているのだからと健康保険制度、公費負担の検診制度などにのみ則って医療行為を行っている医師が多い現実を、今一度考える時期に来ているのではないかと思う。

3.予防医学の重要性

 メノポーズカウンセラーの守備範囲は予防医学的な領域が多い。治療医学中心のわが国の医療保険制度からみると実施しづらい面も多いが、高齢社会を迎え医療がこの方面にシフトしていくことは当然であろう。
 医師は運動、食事、生活のリズム、ストレス管理などについてそれ程多くの教育を受けているわけでもなく、検査、投薬、手術に比べ、経験があるわけでもない。運動の専門家、管理栄養士、カウンセラーなどの人達にもこの領域にくわしい人は多数存在しており、医療面では医師がすべて担当するよりも分担した方が良い結果が得られるのではないかと思う。
 メノポーズカウンセラーの役割は相談業務、啓蒙活動などが多いことから、医療機関から離れ、国民がもっと気軽に立ち寄れる形をめざしていくことも今後の可能性として考慮して良いのではないかと考えている。

■ おわりに

 わが国の医療は国民皆保険のもと病院が非常に身近になり、気軽に受診できるようになったことは誰もが認めるところである。しかし反面、3分診療、検査・投薬・手術が中心、ほとんど話を聞いてくれない、予防医療的なことは期待出来ないなど多くの課題もかかえている。
 これまでの医療はあまりにも医師に権限が集中しており、医療関係者(コメディカルなど)はその監督下で医療行為を実施していたともいえる。医療の権限の分散もこれからの予防にシフトした医療には良いであろう。
 高齢社会を迎え、予防医療的なケアも必要とされるようになり、メノポーズカウンセラーのこの領域での活動も期待されるようになってきている。疾患の治療と共に疾患の予防も重要であり、運動、食事、日頃の生活のリズムなどにその基本が存在していることを国民に理解してもらうことは重要である。

【文献】

1)小山嵩夫:これからの更年期と加齢のヘルスケア 更年期と加齢のヘルスケア 5:5-9.2006
2)小山嵩夫:更年期女性と医療経済 更年期と加齢のヘルスケア5:300ー301.2006
3)小山嵩夫:今、期待されている更年期医療とヘルスケア 性差と医療 2:763ー766。2005

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