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コラム
月経痛や不定愁訴など原因不明のものにも有効。「漢方」は女性の強い味方
生理痛がひどく、毎回痛み止めの薬を10錠以上飲んでいます。
友達に漢方をすすめられたのですが、高そうだし、本当に効くんでしょうか?(26歳・営業)
● 日本ではまだまだ一般的ではない「漢方」
「漢方」と聞くと、何やら胡散臭いと思う人もいるかもしれません。その人に合った薬を飲まないと効かないとか、長く飲み続けなければいけないとか、薬は何千種類もあるとか……とにかく、とっつきにくいイメージがあるのは確かですが、それも無理のないことといえます。
なにしろ、日本で漢方が健康保険制度に採用されたのは1976年のこと。まだ30年も経っていないのです。そして、今なお西洋医学が中心の我が国では、本格的に漢方を扱う病院も医師も少なく、たとえ興味を持ったとしても、なかなか触れる機会がないのが現状です。とはいえ、今までこのコラムで扱ってきたような女性特有の症状に悩まされる私たちにとって、この漢方が、とても有効な医学であることも、ぜひ知っておいてほしいのです。
● 漢方は体質改善が一番の目的。女性には、とくにおすすめ!
その人が持つ病気と闘う力そのものを活かし、体全体をベストの状態にもっていこう、というのが漢方の根本的な考え方。これに対し、症状の原因となる臓器そのものを改善することを目的とし、臓器に直接作用し、悪いところは手術で切除、といったような臓器別の医学が西洋医学です。つまり、漢方医学と西洋医学は、まったく異なった考えの上に成り立っているものなのです。もちろん、それぞれに長所、短所があり、どちらの方が勝っていると言い切れるものでもありません。例えば、卵巣嚢腫が原因でお腹が痛いなら、西洋医学で炎症を抑えたり手術したりする方が有効的。漢方でのんびり様子をみていては手遅れになってしまいます。一方、月経困難症、月経前症候群、不定愁訴などといった、西洋医学的にははっきりとした原因がわからず、ホルモンバランスの乱れやストレスなどが関係していると思われる病気に対しては、漢方がとても有効なのです。つまり、私たちが日々悩まされている、女性ならではの煩わしい症状の多くこそ、漢方の得意分野といえるのです。
● 漢方薬は症状だけでなく、体質にも合わせて選ぶもの
それでは、漢方治療とは具体的にどんなものなのでしょうか?大きな特徴の一つとして、挙げられるのが、症状だけでなく、その人の体にも合わせた薬を用いるという点です。 この体質のことを漢方では「証」といい、大きく3つに分けられます。がっちりとした体格で声が大きく、エネルギーに溢れているタイプを「実証」、逆に痩せていて青白く、体力がない静かなタイプを「虚証」、そして2つの中間を「中間証」といいます。漢方では、症状が同じでも、この証によって違う薬が処方されることになります。体質にもピッタリ合った薬だからこそ、長く服用しても副作用の心配がないというのも、漢方の大きなメリットなのです。
● 上手に併用したい「漢方」と「西洋医学」
しかし、漢方だけでは太刀打ちできない病気もあれば、またその逆もあります。漢方だけ、西洋医学だけ、というのではなく、両方を上手に使ってこそ活かされるものだということをしっかり心得ていることが大切です。