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コラム
今や、誰がかかっても不思議ではない性感染症の実態
新しい彼とセックスするようになってから、おりものが臭うようになってしまいました。
何かの性病ではないかと心配です。(25歳・商社)
● 20~30代の女性に急増中。もはや他人事ではない病気
性病(正しく性感染症。性交渉によって感染する病気の総称)が、限られた職種や環境にいる人特有のものとされていたのは、今や昔の話。最近では「若い女性の10人に1人は性感染症」という報告もあるほど、私たちにとって身近な存在になってしまっているのが現状です。「私だけは大丈夫」という安易な思い込みは、もはや危険でさえあるといえるでしょう。
● 女性のほうがかかりやすく感染に気づかないことも
性感染症の中には、自覚症状があまりないものや、すぐに症状がおさまってしまうものがあり、知らぬ間に感染していたというケースも少なくありません。また、女性の性器は粘膜の面積が広く、簡単に洗うことができないため、男性よりもはるかに感染する確率が高いのです。感染したまま放置して悪化させてしまうと不妊症の原因になることもあるので、女性はとくに注意を払う必要があるといえます。
● 自分の身は自分で守らなければ。治療はパートナーと一緒が鉄則
性感染症の予防には、セックスのパートナーを信頼できる相手に特定することが第一。そして、コンドームの使用を徹底したり、体調がすぐれないなど体の抵抗力が落ちているときは、なるべく性交渉を避けるようにすることも大切です。
今では、たいていの性感染症を比較的簡単に薬で治療することができます。おかしいと感じたら、躊躇せずただちに婦人科へ。そして、もし感染してしまったら、必ずパートナーと一緒に治療すること。どちらか一方だけが治療しても、何の意味もないのですから。
主な性感染症
● クラミジア
主な症状 | ここ数年、若い女性に急増中の病気。クラミジア・トラコマチスという細菌に感染しておこるもので、白っぽいネバネバしたおりものが増える以外、自覚症状がほとんどないのが特徴。悪化させると、不妊症の原因に。 |
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治療 | 抗生物質を3週間ほど服用すれば比較的簡単に完治する。悪化して子宮内膜や卵管が炎症をおこし、周囲と癒着すると不妊症の原因に。 |
● 性器ヘルペス感染症
主な症状 | ヘルぺスウイルスに感染しておこる病気。感染から1週間前後すると外陰部や膣に米粒大の水泡ができ、激しい痛みやかゆみを伴う。ももの付け根のリンパ腺が腫れることも。再発しやすいので、定期的な検査が必要。 |
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治療 | 抗ウィルス剤を3~5日ほど服用。風邪や疲労などで体の抵抗力が落ちると再発しやすい。妊娠中に感染すると胎児に影響することも。 |
● カンジタ膣炎
主な症状 | カビの一種に感染しておこる病気。感染から数日後に、外陰部や膣に強いかゆみをおぼえる。白いおりものが増え、次第に酒かすのようにポロポロした状態に、かゆみが強くなると、性交時や排尿時にも痛みを感じるように。 |
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治療 | 抗真菌剤の膣坐薬や軟膏を約1週間併用。男性は無症状なので注意。風邪などで服用した抗生物質が原因で発症することも。 |
● トリコモナス膣炎
主な症状 | トリコモナス原虫という寄生虫が原因。感染して数日後に外陰部がかゆくなり、緑がかった青色で悪臭が強く、泡の混じったおりものが増えるのが特徴。かゆみか強くなると、排尿時に痛むことも。 |
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治療 | 膣坐薬や内服薬を1週間ほど併用。男性は無症状のこともあるので注意。家族が感染した場合、洗濯を別にする必要がある。 |
● 梅毒
主な症状 | 梅毒トレポネーマという微生物に感染しておこる病気。感染から3年ぐらいは陰部のしこりや全身の発疹などの痛みのない症状しかなく、脳に達すると神経系統が侵されて痴呆や人格障害などが起こる |
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治療 | 感染から3カ月程度までの初期段階なら、ペニシリン系の抗生物質で、ほぼ完治する。性交だけでなく、キスなどで感染することも。 |
● 淋病
主な症状 | 淋菌に感染しておこる病気。クラミジアとともに若い人に急増している。感染から7~10日後に陰部が腫れてかゆくなり、黄緑色の悪臭のあるおりものが増える。子宮内膜炎や卵管炎などを併発し、不妊の原因となることも。 |
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治療 | ペニシリン系抗生物質の注射や経口投与で治療。感染から6週間以上経たないと、検査をしても反応が出ないので注意。 |
● エイズ
主な症状 | ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染しておこる。感染からしばらくの間は無症状で、その後体重の減少、発熱、強い疲労感、下痢などが起こり、約90%が約3年で死に至るといわれる。母子感染も多い。 |
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治療 | 感染したと思われる時期から8週間経たないと、検査をしても反応が出ない。今のところ特効薬はないので注意が必要。 |